晩餐会の始まり
『ねぇ、小説って知ってる?』
ショウセツ? なにそれー。
しらなーい。
しょーせつってたべれるの?
『人間が書いた物語のこと。小説を書く人を小説家って言うんだ』
へー。
ねーねー、おなかすいたー。
ごはんたべにいこーよ。
『もう、僕の話を聞いて! 昨日ね、老衰で死んだおじいさんの魂を食べたんだ。彼は小説家だったの!』
ふーん。で?
『小説家の魂はね、特別な味がしたんだ! 普通は経験したことが味になるけど、たくさんの物語を書いてるからなのかな? あまーい部分とにっがーい部分、辛いところもあった。一度の食事でたくさんの味が楽しめるんだよ!』
……いいね、それ。
うん。あまいのもからいのもいっぺんにたべられるなんて、すてき。
しょーせつか、おいしそう!